ジークムント・フロイト


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ジークムント・フロイト Sigmund Freud

ジークムント・フロイト(Sigmund Freud、1856年5月6日 - 1939年9月23日)は、オーストリアの精神分析学者。生まれた時の名はジギスムント・シュローモ・フロイト(Sigismund Schlomo Freud)だが、21歳の時にSigmundと改めた。オーストリアの東欧系ユダヤ人(アシュケナジム)の家庭に生まれた。神経病理学者を経て精神科医 となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究、精神分析の創始を行い、さらに精神力動論を展開した。(彼自身、自分が心理学者であるという事を一言も述べ ていない。よって、彼が心理学者であると後世の人々が思っているのは間違いである。)

フロイトの記録した数々の有名な症例報告は、彼の非常に詳細で精密な観察眼を示すものであり、現在においても研究に値するものである。精神力動論は、その 後彼の弟子達に伝えられ、様々な学派により改良され、現在でも精神医学のみならず、現代の文化・人間理解に大きな影響を与えている。(ちなみに、彼の考え 方を丸々受け継いだ弟子はいない。よって、弟子達は彼の考え方のどこかしらを必ず批判した上で、独自の精神医学の考え方を生み出していった。)その研究 は、後の世の精神医学、臨床心理学などの基礎となってきたが、やはり現代ではもはや古典である。フロイトの理論は、「一般的」なものではなく、かれ自身 患っていた症状について詳しく記述しただけで、一事例の事例報告でしかない」という批判も現在ではある。

もっと詳しく




人文書院版『フロイト著作集』 全11巻






■第1巻 精神分析入門(正・続)(1971)
『精神分析入門(正)』,懸田克躬・高橋義孝訳,5-383
『精神分析入門(続)』,懸田克躬・高橋義孝訳,385-536

■第2巻 夢判断(1968)
『夢判断』,高橋義孝訳

■第3巻 文化・芸術論(1969)
◇文化・芸術論
「W・イェンゼンの小説『グラディーヴァ』にみられる妄想と夢」,池田紘一訳,5
「詩人と空想すること」,高橋義孝訳,81
「レオナルド・ダヴィンチの幼年期のある思い出」,高橋義孝訳,90
「トーテムとタブー」,西田越郎訳,148
「小箱選びのモティーフ」,高橋義孝訳,282
「ミケランジェロのモーゼ像」,高橋義孝訳,292
「無常ということ」,高橋義孝訳,314
「『詩と真実』中の幼年時代の一記憶」,高橋義孝訳,318
「無気味なもの」,高橋義孝訳,327
「否定」,高橋義孝訳,358
「ある幻想の未来」,浜川祥枝訳,362
「ユーモア」,高橋義孝訳,406
「ドストエフスキーと父親殺し」,高橋義孝訳,412
「文化への不満」,浜川祥枝訳,431
「火の支配について」,木村政資訳,497

■第4巻 日常生活の精神病理学 他(1970)
◇日常生活の精神病理学 他
「日常生活の精神病理学」,池見酉次郎・高橋義孝訳,5
「機知――その無意識との関係――」,生松敬三訳,237
「自己を語る」,懸田克躬訳,422
「ある微妙な失錯行為」,吾郷晋浩訳,477

■第5巻 性欲論 症例研究(1969)
◇性欲論
「性欲論3篇」,懸田克躬・吉村博次訳,7
「幼児期の性理論」,懸田克躬訳,95
「ナルシシズム入門」,懸田克躬・吉村博次訳,109
「性格と肛門愛」,懸田克躬・吉村博次訳,133
「女性の性愛について」,懸田克躬・吉村博次訳,139
「リビドー的類型について」,懸田克躬・吉村博次訳,157
「解剖学的な性の差別の心的帰結の2,3について」,懸田克躬・吉村博次訳,161
◇症例研究
「ある5歳男児の恐怖症分析」,高橋義孝・野田倬訳,173
「あるヒステリー患者の分析の断片」,細木照敏・飯田真訳,276
「子どものうその2例」,飯田真訳,367
「児童の性教育について」,山本由子訳,371
「強迫行為と宗教的礼拝」,山本巌夫訳,377
「欲動転換,とくに肛門愛の欲動転換について」,田中麻知子訳,385
「呪物崇拝」,山本巌夫訳,391
「戦争と死に関する時評」,森山公夫訳,397

■第6巻 自我論・不安本能論(1970)
◇自我論・不安本能論
「防衛−神経精神病」,井村恒郎訳,7
「隠蔽記憶について」,小此木啓吾訳,18
「精神現象の2原則に関する定式」,井村恒郎訳,36
「精神分析における無意識の概念に関する2,3の覚書」,小此木啓吾訳,42
「想起,反復,徹底操作」,小此木啓吾訳,49
「本能とその運命」,小此木啓吾訳,59
「抑圧」,井村恒郎訳,78
「無意識について」,井村恒郎訳,87
「精神分析的研究からみた2,3の性格類型」,佐々木雄二訳,114
「悲哀とメランコリー」,井村恒郎訳,137
「快感原則の彼岸」,小此木啓吾訳,150
「集団心理学と自我の分析」,小此木啓吾訳,195
「嫉妬,パラノイア,同性愛に関する2,3の神経症的機制について」,井村恒郎訳,254
「自我とエス」,小此木啓吾訳,263
「マゾヒズムの経済論的問題」,青木宏之訳,300
「エディプス・コンプレックスの消滅」,吾郷晋浩訳,310
「神経症および精神病における現実の喪失」,井村恒郎訳,316
「制止,症状,不安」,井村恒郎訳,320
「終りある分析と終りなき分析」,馬場謙一訳,377

■第7巻 ヒステリー研究 他(1974)
『ヒステリー研究』,懸田克躬訳,3
『科学的心理学草稿』,小此木啓吾訳,231

■第8巻 書簡集(1974)
『書簡集』,生松敬三ほか訳

■第9巻 技法・症例篇(1983)
◇技法篇
「フロイトの精神分析の方法」,小此木啓吾訳,7
「精神療法について」,小此木啓吾訳,13
「心的治療(魂の治療)」,小此木啓吾訳,25
「精神分析療法の今後の可能性」,小此木啓吾訳,44
「「乱暴な」分析について」,小此木啓吾訳,55
「精神分析療法中における夢解釈の使用」,小此木啓吾訳,62
「転移の力動性について」,小此木啓吾訳,68
「分析医に対する分析治療上の注意」,小此木啓吾訳,78
「分析治療の開始について」,小此木啓吾訳,87
「精神分析治療中における誤った再認識(「すでに話した」)について」,小此木啓吾訳,108
「転移性恋愛について」,小此木啓吾訳,115
「精神分析療法の道」,小此木啓吾訳,127
「分析技法前史について」,小此木啓吾訳,136
「分析技法における構成の仕事」,小此木啓吾訳,140
「防衛過程における自我の分裂」,小此木啓吾訳,152
「精神分析学概説」,小此木啓吾訳,156
◇症例篇
「強迫神経症の一症例に関する考察」,小此木啓吾訳,213
「自伝的に記述されたパラノイア(妄想性痴呆)の一症例に関する精神分析的考察」,小此木啓吾訳,283
「ある幼児期神経症の病歴より」,小此木啓吾訳,348
「ハンス少年分析記後日談」,小此木啓吾訳,455

■第10巻 文学・思想篇 I(1983)
◇文学・思想篇I
「ヒステリーの病因について」,馬場謙一訳,7
「神経症の原因としての性」,馬場謙一訳,33
「度忘れの心理的メカニズムについて」,浜川祥枝訳,50
「夢について」,浜川祥枝訳,58
「神経症病因論における性の役割についての私見」,木村政資訳,101
「「文化的」性道徳と現代人の神経過敏」,高橋義孝訳,108
「ヒステリー症者の空想と両性具有に対するその関係」,高橋義孝訳,128
「ノイローゼ患者の出生妄想」,浜川祥枝訳,135
「精神分析について」,青木宏之訳,139
「「愛情生活の心理学」への諸寄与」,高橋義孝訳,176
「精神分析的観点から見た心因性視覚障害」,青木宏之訳,195
「原始言語における単語の意味の相反性について」,浜川祥枝訳,201
「自慰論」,高橋義孝訳,208
「精神分析への関心」,木村政資訳,219
「夢に出てくる童話素材」,野田倬訳,240
「証拠としての夢」,野田倬訳,246
「精神分析運動史」,野田倬訳,255
「ある象徴と症状」,木村政資訳,311
「ある具象的強迫観念との神話的類似物」,高田淑訳,313
「夢理論のメタ心理学的補遺」,木村政資訳,315
「精神分析に関わるある困難」,高田淑訳,325
「「愛情生活の心理学」への諸寄与――処女性のタブー」,高橋義孝訳,333
「補遺小論集」,348

■第11巻 文学・思想篇 II(1984)
◇文学・思想篇II
「「子どもが叩かれる」」,高田淑訳,7
「女性同性愛の1ケースの発生史について」高橋義孝訳,30
「夢とテレパシー」,高田淑訳,54
「「精神分析」と「リビード理論」」,高田淑訳,78
「幼児期の性器体制」,吾郷晋浩訳,98
「17世紀のある悪魔神経症」,池田紘一訳,102
「精神分析要約」,吾郷晋浩訳,134
「精神分析への抵抗」,池田紘一訳,149
「素人による精神分析の問題」,池田紘一訳,159
「『素人による精神分析の問題』のためのあとがき」,池田紘一訳,228
「精神の分析」,木村政資訳,236
「『ミケランジェロのモーゼ像』補遺」,池田紘一訳,242
「ある宗教体験」,池田紘一訳,244
「戦争はなぜ」,佐藤正樹訳,248
「ロマン・ロランへの手紙――アクロポリスでのある記憶障害」,佐藤正樹訳,262
「人間モーセと一神教」,森川俊夫訳,271
「補遺小論集」,生松敬三訳,377


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