ソニー・クラーク Sonny Clark (1931〜1963)
1931年にニューヨークで生まれ1963年に同じくニューヨークで亡くなったジャズピアニスト
代表曲「SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE」(朝日のようにさわやかに)
アメリカよりも日本で有名なピアニ
スト
オーディオ機器やソフトの充実によって、近年はめっきり数が減ったジャズ喫茶。しかしレコードが高価でなかなか手に入らなかった50年代、60年代には
一般の人がジャズを聴くには、ジャズ喫茶に行く以外に方法はありませんでした。そのジャズ喫茶全盛時代に我が国でもっとも人気の高かったアルバムが、ピア
ニスト、ソニー・クラークの『クール・ストラッティン』です。タイトル曲をはじめ全編にあふれる「これぞモダン・ジャズ!」と言いたくなるファンキーなサ
ウンド、歌心と哀愁に満ちたピアノのフレーズ…。『クール・ストラッティン』の人気同様、ソニー・クラークの名前も日本のジャズ・ファンにとってはおなじ
みのものです。
ところが意外なことにこのクラーク、本国のアメリカでは、相当のマニアにもその名を知られていないのです。若いミュージシャンにきいても「誰だ、それ」
という反応しか返ってきません。今から十数年前のこと、日本でおこなわれたあるジャズ・フェスティバルのオープニングで、日本側のプロデューサーが外人
ミュージシャンたちに「クラークのクール・ストラッティンをやってくれないか」と提案しました。「そんな曲やっても受けないよ」と最初は渋っていた彼らで
すが、プロデューサーの熱意に押されて渋々演奏することに。そして「クール・ストラッティン」の第1音が会場に鳴り響いた時、5万を超す聴衆は総立ちに
なったのです。演奏を終えて楽屋に戻ってきたミュージシャンたちは、「ソニー・クラークがこんなに人気があるなんて」と眼を白黒させていたそうです。
「おんがく日めくり」より