横尾忠則

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横尾忠則

横尾忠則(よこおただのり、男性、1936年6月27日 - )は、兵庫県西脇市生まれの美術家。

グラフィックデザインやイラストレーションから経歴をスタートした。後に絵画・立体で様々な作品を手がけるようになった。長女の横尾美美も美術家。向田邦 子脚本によるテレビドラマ『寺内貫太郎一家』(1974年・TBS)では、倉田という謎の多い人物を演じたこともある。

[経歴]
1936年 - 兵庫県多可郡西脇町(現在の西脇市)に生まれる。幼いころから絵本の模写をしていた。
1943年 - 西脇国民学校に入学。漫画を描くようになり『漫画少年』誌に投稿。
1949年 - 市立新制西脇中学に入学。
1952年 - 兵庫県立西脇高等学校に入学。通信教育で挿絵を学び、油絵やポスター制作を開始する。
1956年 - 神戸新聞社へ入社。
1957年 - 結婚。
1960年 - 上京。
1964年 - 長女誕生。
1965年 - 三島由紀夫と出会う。後に共に仕事をする。
1967年 - 寺山修司の「天井棧敷」に参加。 ニューヨーク近代美術館に作品がパーマネントコレクションされる。
1970年 - 写真をはじめる。
1974年 - 篠山紀信とインド旅行。この後何度もインドを訪れるようになる。
1981年 - 渋谷西武で大規模な個展。
1982年 - 南天使画廊でペインティングの近作をまとめた個展。横尾忠則の「画家宣言」ととらえられた。画家としての活動が活発になっていく。
1987年 - 兵庫県文化賞を受賞し、兵庫県公館に作品が展示保存される。
2002年 - これまでで最大規模の個展「横尾忠則森羅万象」開催。
2004年 - 故郷のそばを走るJR加古川線電化開業、それにあわせラッピング電車を運行開始(2006年まで)

[作家論・業績]
幅広い作風でジャンルを超えて活動。油絵、オフセット印刷、テクナメーションや立体など技法は多様である。また先行する作品を引用や模写の形で作品に取り 入れることも多い。絵を描くことを愛だと表現し、理論や状況分析によって制作する立場はとらない。また、興味をもった対象は膨大な量をコレクションする。 それは作品のモチーフになり、時に引用される。1980年代後半から滝を描き続けたときは膨大な滝のポストカードを収集し、コレクション自体も作品化し た。2000年からの「暗夜光路」シリーズではY字路を集中して描いた。

何度もインドを訪れている。宇宙人や霊的な存在についての言及もあり作品の評価の際にも関連が指摘される。

『少年マガジン』の表紙や、1979年貴乃花・1981年千代の富士貢の化粧廻し、宝塚歌劇団のポスターなどもデザインしている。

また、多くの異なるジャンルの作家と交流を持ち、共同で仕事をしている。岡本太郎、谷内六郎らを敬愛している。

2005年、資生堂が3月に発売した発毛促進剤「薬用アデノゲン」のテレビコマーシャルが、鏡面床の空間に、大量の滝のポストカードをビニールに差込み、 壁面3面に展示する横尾自身の作品と「アイデアやコンセプトが私の作品と類似している。広告の作り手の主体性とモラルを問いたい」と抗議。直後に資生堂は CMの放映をやめた。この件に関して、

アンディ・ウォーホル、荒木経惟など、数多くの芸術家が実践してきた手法であり、インスタレーションの手法としては一般的である。
1990年の「GOKAN」というエキジビションで、テレビCMを手がけたタナカノリユキは、底を鏡面にした作品をすでに発表している。
横尾は滝のポストカードだったのに対して、CMは商品対象になる人物たちのモノクロ顔写真である。
などのことから、模倣という指摘に疑問をもつ声も挙がっている。タナカは模倣を否定している。


[主な作品]
『腰巻お仙』(1966年)京都国立近代美術館
  唐十郎の状況劇場のために制作。世界のポスター展「World & Image」で60年代を代表する作品に選出。

『万博太陽』(日本万国博の楽しい会場より) (1967年)国立国際美術館
『万博 空』(日本万国博の楽しい会場より) (1967年)国立国際美術館
『動く道路』(日本万国博の楽しい会場より) (1967年)国立国際美術館
『万博 ふんすい』(日本万国博の楽しい会場より)(1967年)国立国際美術館
『夢を売る妖精たち』(1967年)京都国立近代美術館
『葬列 II』(1969/85年)東京国立近代美術館
『振動』(1987年)兵庫県立美術館
『ROGER AND ANGELICA 19』 兵庫県公館

[著作]
『横尾忠則遺作集』
『横尾忠則全集』
『超私的横尾忠則マガジン』平凡社
『波乱へ!!』
『見えるものと観えないもの』筑摩書房
『インドへ』



[外部リンク]
横尾忠則オフィシャルウェブサイト


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